SUS316の加工は刃物の切れ味と加工変形のバランス次第
最近、SUS316の加工依頼が良く来るようになりました。
ただでさえ加工が難しいステンレスですが、SUS316はなお厄介な材料なのです。
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SUS316とは?
通常、ステンレスといえばSUS304のことを指していると思います。
錆びない(実は錆びづらい)金属の代表ですね。
鉄、クロム、ニッケルの合金で熱伝導率が低く、加工硬化しやすい難削材。
刃物の持ちも悪いため加工には気を遣います。
SUS316はSUS304よりもニッケルの含有量が高く、さらにコバルトを添加して耐食性が高くなっているのが特徴です。
(耐海水性が高いので、弊社での加工実績はほとんどが船舶関係部品です)
SUS304よりも粘っこく切れも悪く、おまけに加工変形率が大きいのでなかなか仕上がってくれません。
刃物選びがキモ
刃物の選択は第1に切れ味です。
粘くて切れが悪いため、切削抵抗の少ない刃物でスパッと切っていかないと面がモサモサになってしまったり寸法が大狂いしてしまいます。
もちろん、材料はできるだけ加工位置に近いところでチャッキングして振動を抑え、ビレないようにしないといけません。
ただ、切れ味重視の刃物は持ちが悪いため頻繁に刃物交換が発生してしまうので刃物代が馬鹿になりません・・・
第2に刃先Rは小さめに、溝入れの場合は刃幅は小さくするということ。
切削抵抗を減らしてビレを防ぐ目的です。
部品形状と機械そして刃物との関係なので必ずしもそうしなければならない、ということではありませんが、今のところその方が良い結果が得られています。
切削条件は勘で?
ステンレス一般に言えることですが、鉄よりゆっくり回して早く送る。
切れが悪いため切削条件を上げられません。
しかしゆっくり送ると加工硬化の影響で刃先をやられたり寸法が狂ったりします。
結局正解は現場にしか無い!
数をこなして慣れていくこととデータの蓄積で結果を予想しながら加工を進めるのです。
ただ、SUS316に関して判っていることは SUS304より加工変形が大きくなる ということ。
いっぺんに加工を進めて仕上げていくと、後で寸法が狂ってきて泣きを見ますよ!
また、あと1/100追い込んで・・・とか言う時は注意しましょう。
切れないからと言って深追い込みすると突然ドカッと切れてオシャカになったりしますから。
イヤな加工特性のSUS316ですが、慣れれば十分対応可能な材料です。
失敗はしたくないけど経験しないと判らないこともたくさんありますから前向きに取り組んで参りましょう!
でもね・・・失敗すると
SUS316は 材料が高い!!
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