MAZAKのマシニングセンタV10の漏電を修理した件
弊社所有のマシニングセンタ MAZAK V10
今では社内で一番古いマシニングセンタとなりました。
30年選手ですがまだまだ現役です(`・ω・´)ゞビシッ
しかし、古いゆえ故障もしょっちゅう起きるので手が焼ける・・・
今回は不具合の症状からどんなトラブルシューティングをしたのか書いてみます。
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電源が勝手に落ちてしまう!
今回のトラブルは電源が勝手に落ちてしまうという、結構ヤバイものでした。
幸い加工中には起きなかったため大事には至らず。
しかし症状は重く、TRIPした機械のメインブレーカーを入れ直したとたん、またすぐにブレーカーが落ちてしまうのです。
これを何度か繰り返したら、ついに工場側のブレーカーが落ちてしまいました。
1台動いていたマシニングセンタがあったので肝を冷やしましたが、何事も無くほっと一安心。
ただ、これ以降何度やっても機械のブレーカーではなく工場のブレーカーが落ちるようになってしまいました。
漏電遮断器
制御盤内部
工場のブレーカーには漏電遮断器がついています。
まずは機械の制御盤内にあるブレーカーを全てoffにしました。
これで動力側とは縁が切れるはずなので、過電流、例えばモーターがいかれてショートしているかどうかの判断ができます。
機械のブレーカーを投入!
ばん!
と音がして工場のブレーカーが落ちました(;´Д`)
ああ~落ちた~
機械の動力側は遮断してあるので
これは漏電ですね・・・
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原因を探るぞ!
こんな時は電気回路図が読めると原因究明の助けになります。
ただね
この回路図は読みづらかった~
盤内のブレーカー落としても漏電の原因は切り離されなかったため工場の漏電遮断器が働くわけなのですが、回路図から判る怪しい部分はメインブレーカー直下のトランスとその下流にある電源ラインとしか読み取れなかったのです。
制御盤内の電源ラインは盤内ブレーカーで遮断されているはず
でも漏電は無くなっていない
??
まだ何かぶら下がってるものがある??
うう、分からない
回路図からは読み取れない・・・
仕方ないので盤内の元の電源ラインを端子台から外してみることにしました。
制御盤入口の電源端子台
まずは動力用のR1/S1/T1とR2/S2/T2を外してみます。
手前の1次側を外し、ショートしないようにビニールテープで絶縁。
恐る恐るメインブレーカーを投入!
おお、漏電遮断器が作動しなかったぞ!!
漏電の原因はこの6本にぶら下がっているどこかだって事が判明。
R2/S2/T2を端子台に戻してみる
どちらからでも良かったのですが、まずは線の細いR2/S2/T2から端子台に戻してみることにしました。
漏電遮断器は落ちません。
おー
このラインでは無いぞ、と。
R1/S1/T1の2次側を外す
漏電のモトはR1/S1/T1の下流にあることが判りました。
となれば、2次側のラインを外し1次側を端子台に戻してから、一つづつ繋いでみてどこで落ちるのか確認します。
そに結果、主軸アンプ内部のブレーカー(CB1)に行くケーブルを外せば漏電遮断器が動作しないことが判明しました。
主軸アンプ内のブレーカー(CB1)
でも、このブレーカーも最初の段階でOFFにしたんですよ。
何かおかしいですね??
ブレーカーOFFという事は2次側、つまりサーボアンプ内には電源が供給されていないはず。
なのにこの1次側の電線が繋がった状態では漏電遮断器が動作する。
外したら動作しなくなった。
何で?
回路図では何も繋がっていないようだったのに。
迷走の始まり
回路図では何も繋がっていないようだったのに。
これがいけませんでした。
ブレーカーの1次側に何も繋がっていないと思い込んでしまいました・・・
この時時刻は午後6時過ぎ。
もう手元が暗くてLEDランタンの明かりを頼りにしていたのもまずかった。
ブレーカーの1次側端子台をよく確認しないまま (何も繋がっていないと思い込んでいたから)テスターでアースと端子間の導通検査を実施しました。
RとSに300Ωくらいの導通を確認。
Tはゼロ。
ブレーカーの2次側はR/S/Tいずれもゼロ。
ブレーカーONにすると、R/Sは導通、Tはゼロ。
症状が2次側に移りました。
何でかわからないけどブレーカーが悪いみたいだ
以上の結果から、何でかわからないけどブレーカーの1次側のR/S相が地絡していると結論づけました。
よく考えたらおかしいって判りますよね・・・
ブレーカーの端子台が地絡なんてする訳ない。
でもその時はそう思い込んでしまい、MAZAKにブレーカーを送ってもらう手配をしました。
翌日には発送していただき、2日後に到着。
さあ交換してみよう!
もう型が古くなっているため同等品を送ってもらいましたが・・・
ブレーカーを交換しようと思い端子台のネジを外したら
ん?
なんじゃこりゃ~
1次側に渡り線が入ってる(゚д゚)!
今頃気づくんかい!!
もっと早く気付けよって。
明るい時にちゃんと見ろよって。
明るくなくても、ちゃんと見ろよって。
自分のアホさ加減にがっかりしながら
渡りの先をテスターで当たっていくと
ありました(;´Д`)
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真犯人発見
冷却用のファン
往々にして漏電の原因になるのだ
はい、これでした。
冷却用のファンが古くなって絶縁低下したのです。
以前使っていたNC旋盤でも同じ原因でブレーカーが落ちたことがありました。
ファンの電線を外して主電源投入。
問題なく動作するじゃありませんか~
犯人は突き止めましたが、何とも後味悪く今度はファンを送ってくれるように依頼。
もう(;´д`)トホホ…でした・・・
ファン到着、またしても問題発生!?
発注した翌日にはファンが到着。
早速交換しようと梱包を解き、ファンを包んでいるぷちぷちをハサミで切った瞬間!
嫌な感触が。
ぷちぷちと一緒にコードもちょきんと切っていました(;´Д`)
あせった~
配線がファンの回りにぐるぐる巻いてあり、その、先の方を切っていました~
先で良かった~
まだ十分な長さがあった・・・
梱包を解く時は気をつけて。
ファンの取付、端末処理
ファンは同じものではありませんでしたが、取り合いは同じだったので簡単に交換できました。
ただ、リード線はかなり長かったのでちょうどよい寸法にカットして端子を取り付け端末処理しました。
板金の穴にリード線を通す部分には元々付いていたグロメットを付けました。
電線を折り曲げて抜けなくする構造になっています。
入れるのは簡単でしたが、最初抜くのに苦労しました。
機械に装着して試運転
後はファンを機械に装着して取り外した端子台や抵抗を元通りに取り付けたら試運転です。
定時後、すべての機械が停止してからメインブレーカーON!
OK!
漏電遮断器落ちません!
機械の非常停止を解除してNC起動。
油圧も入り原点復帰もOK
主軸回転OK!
いや~長かった・・・
瞑想しなきゃ2日は早く原状復帰していたのにね。
ひとまず今回の不具合、復旧完了です。
まとめ、というか教訓
・不具合の症状を正確に見極めること
・電気なのか機械なのか
・電源トラブルは他の機械を巻き込む可能性を考慮すること
・制御盤を開けたら絶対感電しないように注意する
・充電部の端子を外す時は必ずメインブレーカーを切る
・外した端子はビニールテープで絶縁処理する
・回路図を過信しない
・明るくして必ず目で確認すること
今回は失敗でしたね・・・
目視確認を怠りました。
原因究明はすぐできたのに、犯人を見誤りました。
老眼も進んできたのでメガネは必需品だし、制御盤内は暗いので明るいライトも必須。
皆さんはこんな失敗をしないようにね
しないか。
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